戦場文学

終戦の日にあわせてアップしようと思っていた話です。
私が戦場文学をはじめて読んだのは、20代前半でした。今でも心に深く残っている2冊の本があります。どちらも直木賞作家・伊藤桂一氏の著作です。ボロボロになるまで何度も読み返しました。
伊藤氏は詩人として出発しているだけに、文章が抒情的で美しく、職人技でもあり、心の深いところへまっすぐに届きます。今はもう90歳を過ぎておられますが、現役の作家です。この本を読むと、伊藤氏自らが、戦場で生き残った自分が書かなければ、とおっしゃっていたことを思い出します。
名作です。
 
『蛍の河』
『静かなノモンハン』
 
『蛍の河』は、第46回直木賞を受賞しています。
『静かなノモンハン』は、吉川英治文学賞と芸術選奨受賞作です。
 
戦争は、私にとっても身近な歴史です。私の祖父はサイパン島玉砕の折、自決していますし、サイパン島の崖から海へ投身自決した民間人の様子を、それを目撃していた母から聞いて育ちました。祖母は特攻出撃する特攻兵のお世話をしていました。祖母に実の母を重ねて、「おかあさん」と泣いて抱きついた出撃間近の特攻兵のことも聞いています。
サイパン島はリゾート地として若者に人気がありますが、私にとっては、亡くなった方たちをお参りする場所なのです。幼い頃から母から聞かされてきた戦争のそうした出来事があまりにずっしりと重たく心に刻印されているため、なかなかサイパンへ行く気持ちになれないまま、今日まで来ています。けれど、一度は行かなければならない場所だということも、自覚しているのです。